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2010年6月

2010年6月 5日 (土)

ホルカテレケプ・ノチゥ (ザリガニの星)

久しぶりにまた、アイヌの星座をご紹介!

これからの季節 焚き火でもしながら星を眺めていたいねぇ。
そんな、夏の星座、さそり座のお話。


★末岡外美夫 著 『人間達(アイヌタリ)の見た星座と伝承』より抜粋。

「さそり座」のS字の星列を結んで大きな天上のホルカテレケプ
(horkaterkep ザリガニ)に見たのは、アイヌモシリ山間部のアイヌである。

川・湖・沼などに住み、小動物や苔水草などを食べる。
肉はまずいので、アイヌは食用にしなかったが、
軽く焼いて干したものを砕いて薬にしていた。

肺病(肺結核)に効くといわれていたが、去痰薬としても用いられていた。
酒に混ぜて飲むと精力増進になるともいわれ、
老人や体の弱いアイヌ、産後の婦人にも愛飲されていた。

ホルカテレケプ・ノチゥ(ザリガニ星)は別にケマシテ・ノチゥ(kemastenociw
食いしん坊・星)とも呼ばれていた。
ザリガニの貪欲な食性から生まれた星名であろうと思われる。


~大酒呑みのザリガニ~

「その昔、ホルカテレケプは、天上のペッノカ(天の川)に住んでいた
貴いカムイの一人だった。
彼にとって、酒は何よりのご馳走だった。
だから彼は毎日ペッノカの支流にあるカムイの
コタンからコタンへ渡り歩いて、酒を飲んでいた。

ある日のこと、カンナカムイ(雷(龍)のカムイ)の妹が
日高のカムイシリ(カムイの山)に下りて、
川下のコタンを見ると、チセから立ち上がる炊飯の煙が絶えていて
アイヌたちが食糧の乏しいことを話しあっている声が耳に入った。

そこで妹のカムイは急いで天上へ帰って、
そのことを兄のカンナカムイに訴えた。

カンナカムイは、ホルカテレケプを呼んで、
その大きなハサミにハルラマッ(haru・ramat 食糧・の魂)
を抱えてアイヌコタンに天降ることを命じた。

ホルカテレケプは急いで天降る準備をしたが、
自分の家に飲み残しの酒があることに気がついた。
アイヌコタンに降りると、当分の間家を開けなければならない。

そこで彼は、その酒を飲んでしまおうと考えて家に帰った。
はじめは気がとがめたが、大きな盃になみなみと汲んだ酒をいっぱいあおると
気が楽になった。一杯が二杯、ニ杯が三杯と盃を重ねるうちに、
アイヌコタンの事をすっかり忘れてしまった。

カンナカムイの妹が再びアイヌコタンに降りてみると、
アイヌは相変わらず飢えていて、食糧の届いた様子がない。

そこで天上に帰ってホルカテレケプの家を覗いてみますと
彼は真っ赤になって、大の字になって寝込んでいた。
そのとこを、カンナカムイに伝えると、
彼はそのわけをカントコロカムイ(天の神)に訴えた。

カントコロカムイは酔っ払ったホルカテレケプをつまみ上げて
地上に放り出した。

それから彼はアイヌモシリの川や沼のスミでコソコソ生きている。
彼が死ぬと赤黒い体がいっそう赤くなるのは、
昔大酒を呑んだ酒毒のせいだという。

一方カンナカムイは足の早いコタンコルフチカムイ
(コタンを支配する女の神=梟の女の神)にハルラマッ
を背負わせて、アイヌコタンに向かわせた。

彼女はペッノカのほとりの柳の枝を杖にしてカムイシリに天降った。
そして柳の葉にハルラマッをつけて、鵡川に流した。

それがみんなシシャモ(柳葉魚)になって、
コタンのアイヌを救う事になった。

彼女は急ぎすぎたので半分を途中の八雲の
ユーラップ川に落としてもらった。
それがシシャモになったので、この川にもシシャモが遡ることになったという。

夏のペッノカ(天の川)に浸っているホルカテレケプ・ノチゥ(ザリガニ星)は、
彼がその昔に天上に住んでいた姿で、
カンナカムイの妹のカムイがカントコロカムイに頼んで、
星として夜空に残したものである。

ホルカテレケプ・ノチゥのサンペノチウ(心臓星=アンターレス)
が赤いのは、星になっても酒気が抜けないせいである。」

おしまい。


おもしろいねぇ~。《さそり座》が《ザリガニ星》 だって!
さそり座のあの赤い星は、酒気 のせいとはねぇ~!!

さて、星空の夜に、探してみようかなぁ~。。。



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